月別アーカイブ: 2016年3月

人間ってすごいな

20年ほど前になるだろうか。
電車に乗っている時、見知らぬ人と目が合ったと思ったら、
その人の「女の一代記」や、「男の一代記」を
唐突に語り始めることが続いたことがあった。

私はというと、これが面白かった。
どうも「人とはなんぞや?」という意識があるのだろうか。

さて、数年前に東京でタクシーに乗ったときの話である。
なにかの話の拍子に、運転手さんの「タクシー運転手になった理由」を聴いて、
私は「へぇぇ!」となった。

海外航路の船のコックをしていて、180ヶ国を見てまわった。
もう海の上の生活はいいかなぁと思って、
陸にあがって、小さいながらも自分のフランス料理店を持ってがんばってきた。
あ、外国は知っているけど、日本は知らないな、と気づいて、
タクシーの運転手ならすごく道を覚えられるし、一石二鳥かなと思って、
店は人に譲り、こうしてタクシーの運転手をしています。

…人間ってすごいな。

「癒す心、治る力 自発的治癒とはなにか」 アンドルー・ワイル・著

…不思議なことがあるものだ。
公園を散歩しているとき、
見知らぬ人が「その人の治癒の体験」を語ってくれることがあります。

「寝たきりの植物状態だったけれど、こんなに回復したんだよ」とか。
「事故で大けがを負って、もう普通の生活はできないと宣告されたけれど、
この通り、普通に暮らしています。」とか。
ある人は、絶望的だったご自身の心の再生の道のりを。

公園で出会った人たちだからかもしれません。
「緑が、自然が癒してくれた」と一様に語ってくれます。
そして「治らないと思いこまされてはいけないよ」と言うのです。
その人たちのストーリーは多様なのに、この二つはなぜか共通していました。
だから、あなたもね…。
そう言って去っていくのも同じなのです。

ふと、統合医療の第一人者、
アンドルー・ワイル博士の名著「癒す心、治る力」を思い出します。

統合医療とは、人の自然治癒力(自発的治癒)を大切にして、
身体だけでなく心と霊性に目を向けた、「まるごと(ホリスティック)な医療です。
現代医学と、東洋医学などの代替療法を上手く使い分け、
ときには心理療法やスピリチュアルなアプローチも。

もともと人間には、治癒の装置と回路が備わっている。
あとはいかにスイッチを押すかだ、とワイル博士は言います。
治癒系のメカニズムを解説し、
それをアシストするもの(食事、療法、暮らし方など)を説明しているのですが、
スイッチを押すかどうかは、心も関係するのではないか、と提言しています。

印象的なのは、「病気と戦わない」意識の人が治癒のスイッチを押すという報告。
***本書より引用
「その病気の受容は、
自己の受容という、より大きな受容の一部であることが多い。
自己の受容は、
重要な心の転換の現れであり、パーソナリティの変容が始まる。
それによって、病気の治癒が始まる転換の現れなのである」
***引用おわり

これは心理学の「パーソナリティの変容」そのもの。
つまり、自分のなかの「嫌なもの、認めたくないもの」(気づいていない場合も)を
悪者扱いして排除したり、戦いを挑むのではなく、
大切な自分の一つであり、贈り物だと受け入れること。
すると、まるごとの自分を愛するようになり、
ひいては、新しい自分、より高次の自分に「変容する」ということ。
心にも、もともと自発的な「よくなる力」が備わっているのです。

さて、まるごとの自分を愛せるようになった後に起きる、
「変容したパーソナリティ」になると、
自然や、大いなるものとつながるようになります。

「緑が、自然が癒してくれた」と語ってくれた、
公園で出会った人たちを、ふと私は思い出すのです。

・「癒す心、治る力 自発的治癒とはなにか」
アンドルー ワイル・著/上野圭一・訳
角川書店

同じくワイル博士の「ナチュラル・メディスン」、「医食同源」、
「人はなぜ治るのか」もおすすめ。

3月5日~21日「荒子公園 梅まつり」

当ルーム近くの荒子公園には、香りの素晴らしい梅園があります。
梅の花は、荒子ゆかりの武将、
前田利家の家紋のモチーフなのです。

さて、この荒子公園の梅園で、
3月5日から3月21日まで、梅まつりが開催されます。
5日の開会式には、河村たかし名古屋市長が参加し、
名古屋おもてなし武将隊や和太鼓演奏などのパフォーマンスがあるそうです。

この荒子公園は
視覚障害の方も楽しめる「香りの講演」がコンセプトだそうです。
梅だけではなく、バラやクチナシ、キンモクセイなど、
季節ごとの花の香りが楽しめる、私の好きな公園です。