野球好きには待ちに待った日なのだろう。
亡き父は開幕が近くなると、
いそいそと出かけては、
本屋で選手年鑑を、
コンビニではスポーツ報知を買い、
見るからにソワソワ、明らかにソワソワとしていた。
そんな父の様子を見て、母と私は面白がって、
お赤飯を炊いたり、
今日だけねと、テレビの前に父のお祝い御膳を運んだりした。
その日を指折り数えて待つような野球狂ではない私は、
父が亡くなってからは、
今年の開幕いつだっけ?てなもんである。
小さい頃から週刊ベースボールが家にあって読んでいたし、
テレビには野球中継が映っていたけれど、
カエルの子はカエルにはならなかった。
しかし、隔世遺伝というものなのだろうか、
甥っこは大のベイスターズファンだ。
横浜で新しい学生生活をはじめた彼は、
今日の開幕戦に行くそうだ。
歌って踊ってのチビ子ちゃんだった姪は、
この春から、学校の音楽の先生である。
幼いころから音楽が好きで、好きを伸ばす環境もあった。
教員をしている親の姿が無意識にあったかどうかは分からないけれど、
音楽の楽しさを教えることに。
(追記 初任は音楽ではなく、都の新たな試みの担当になったそう。)
母は嬉しそうに、
孫たちの「開幕」を、
父の写真に報告していた。