「桜時間」という大島弓子さんの漫画がある。
「リ マハタワープ ロンロンパルコ センターオーバー バックバック」
という意味のない呪文が出てくる。
以下は長文ですが、あらすじはこんな感じ。
***
小学生のうさ吉は、学校でケンカをして同級生に怪我をさせてしまう。
すぐにカットなってどうしようもないんだと告げる息子に
父親は先ほどの呪文を教える。
一身に唱えるとスーッと怒りが鎮まるから、と。
このやりとりを陰で聞いていた妻は、
なんていい加減なことを言う夫かと軽蔑する。
うさ吉は夫との子供ではない。
16の時に同時につきあっていた三人のなかの誰かの子である。
赤ちゃんができたと知った二人の男は行方をくらましてしまう。
もう一人のスイマーという男は既に別れており、もう所在も分からなかった。
しかし、その事情を承知のうえでプロポーズした夫と、結婚し出産したのだ。
ある日、妻は三人のうちの一人が
殺人を犯したことを報道で知る。スイマーだ。
時を同じくして息子のケンカの件も知り、
うさ吉は殺人犯の子ではないか
スイマーの面影や仕草を、うさ吉から執拗に探そうとする。
この子は狂暴化して同じ罪を犯すのではないか。
そんな疑念は日に日に膨れあがり、
どんどんますます息子がうとましくなり
ついにはカッとなり、わが子に手をあげようとした瞬間、
自分があの呪文を唱えていることに気づく。
そして思い出す。
スイマーが最愛の人だったこと、
そのつきあいは桜が咲き、散るまでのわずかな時間だったこと。
うさ吉が誰の子か疑心暗鬼の中、
一人で調べまわったのも桜の季節であったこと。
そして…。
***
…というストーリー。
このお話に限らず大島作品には
人の心理の渕を覗くような怖さを感じることがある。
そしてそこから帰還するという結末の数々が、何度わたしを救ってくれただろう。
さて、冒頭の呪文
心理学としても、突発的に怒りが湧き上がってどうしようもないときに、
全く別のことをを思いだしたり考えたりして意識をそらすことは有効なのです。
数秒間の冷静な時間を作ることで「我にかえる」というもの。
例えば頭のなかで暗算をする、心の中で言葉を唱えるなど、
ちなみに、唱える言葉は何でもかまいません。
お好きな「とっておきの方法」を心に留めて、お守りにしましょう。
*カウンセリングルーム・フムフム Webサイト
http://hum-hum.jp/