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四葉のクローバー

ジム・ハットン著、
「フレディ・マーキュリーと私」を読んでいる。

なにもかも手に入れたスーパースターのフレディが、感激したプレゼント。
サヴォイ・ホテルで週給60ポンドで働く理容師のジムは、
フレディの友人たちのようには、高価な誕生日の贈り物はできなかった。
気が引けたジムは、皆がいない場所でフレディに贈り物を渡すことにした。
「すまない。僕には、これしか君にあげられるものがないんだ」と
ジムが申し訳なさそうに差し出したのは、
ティッシュにはさんで押し葉にした、四葉のクローバー。
それを受け取ったフレディは、もう嬉しくて嬉しくて、
「ねぇ!みんな見て!ジムがこんなに素敵なプレゼントをくれたんだ!」と、
四葉のクローバーを見せに、皆の所へ飛んで行ったのでした。
ジムは恥ずかしさで、顔が真っ赤になったとか。

私は読んでいてクスクス笑ってしまったのだけれども、
アイルランドからロンドンにやって来たジムは、
四葉のクローバーをお守りにして大事にしてたろうと想像した。
ああ、そうだ。フレディの言う通りだわ。
こんなに素敵な贈り物はないんじゃないかと、私も思ったのでした。

この本の初版が本屋に並んでいた頃、私は視力がまだあって、
フレディとジムが並んで座っている写真が、本の表紙だったと思うのだけれど、
朴訥とした感じのジムの隣に、
とても穏やかな表情のフレディが写っていたことを憶えている。

声の色

先週のことになるのだけれども、
「今日は一日、クイーン三昧」のラジオオンエアを聴いた。
…いい曲いっぱい。
なんか、最近にない音がしてると思ったら、オンエア全てがレコード音源だった。
ふくらみのある豊かな音。
レコードに馴染みのない、若いリスナーなのか苦情があったようだけど、
レコードならではの針飛びや、
針の回る、プチプチ聴こえる雑音も懐かしい。
そして、
素晴らしいフレディの歌唱に、私は惚れ惚れとしたのだった。

4オクターブの声域と言われたフレディだが、
数年前に、驚きの研究結果が発表された。
最新の技術を駆使した、科学的な解析によると、
「やっぱりフレディ、普通じゃないわ!」と思いきや、
なんと、一般的な成人男性並みの声域だったと判明したのだ。

エーッ!?
短髪のマッチョ姿のフレディしか知らなかった私が、
長髪の王子様だった頃のフレディの姿お見た時も、
それはそれは驚いたものだけれども、
フレディが、ごくごくフツーの声域の持ち主だったなんて!?

じゃあ、どうやって、あの超人的な歌唱が実現したの?
研究チームによると、フレディの喉の使い方に秘密があって、
ビブラートの揺れがかなり特殊で、高速かつ複雑なものだという。
また、フレディの話す声や歌う声は、
高い声でも低音も同時に鳴っていることが分かった。
これは、ホーミーの歌唱法と同じで、
地声の他に、倍音が加わっているということ。
通常は発声に使われない、声帯のヒダの部分さえも音を発しているというのだ。

…そうだったのかー!
野球のピッチャーみたいに、球が速けりゃいいってもんでもなくて、
意外と声域や声量に恵まれた歌手が、
一本調子で、聴いていて面白くないってことがある。
声が綺麗なだけでは、物足りなくなったりもするし、
上手いだけの歌、感心するけど、それだけ。

反対に、美声とはお世辞にも言えないシンディ・ローパーの声が、
妙に心に響いたりするし、
上手いソウルシンガーが山ほどいたのに、
ダイアナ・ロスの、ハスキーなんだけどサラっとしてる蜂蜜声は他にない。
フレディも、正式に声楽を学んだ人のほうが上手いのかもしれないけど、
あの色彩豊かな歌は、ちょっと異質だ。

…と、いま書いて気がついたのだけれど、
たしか、シンディは、アート専攻だったはず。
ダイアナは、幼いマイケル・ジャクソンに絵の手ほどきをしていた話は有名で、
フレディは、アートカレッジでデザインを学んでいた。
声と言う色で、歌を描いているのかな。
なんか、そういう感覚を感じるアーティストの歌、
茶目っ気っていうのか、
チャーミングな感じがするのは何故だろう?

秋の散歩道

昼下がりに、サンダーと並木道を歩く。
カラコロと何かが近づいてくる音がして止まったら、落ち葉だった。
秋の落ち葉は、愉快なイタズラっ子みたいだ。
大きな枯葉がベタと、
私の顔やサンダーの頭に見事に命中したりもする。

落ち葉掃きをしているご町内のオジサンに、
顔見知りらしきオバチャンが、
「葉っぱが落ちるあいだはイカンねー」なんて、
のんびりした口調で話しかけている。
オジサンは箒とチリトリを動かす手を停めて、
「いやもう、ほんとイカンのだわー」と、
同じくのんびりとした口調で答えていた。
掃いた次の瞬間に落ち葉が降ってくるのよね。
やっぱり、落ち葉はイタズラっ子だな。

今日は季節外れの陽気で、
Tシャツにネルシャツという薄着だったのに暑かった。
マフラーを巻いて、
ダッフルコート着て歩くのは、いつになるやら。