サンダーと歩いていたら、
どこかで聞いたことのある声に呼び止められた。
朗らかで元気な女性の声、
体験学習に行った小学校の、お世話になった学年主任の先生だ。
この先生は、青年海外協力隊で活動経験もあって、
区内だけど遠くの小学校へは自動二輪で通っているとは聞いていた。
私は最終選考で落ちたけど、青年海外協力隊を目指したことがあったし。
中型二輪は、私の腕力では取り回すことができなくて、
泣く泣く小型免許になったけど、私もバイク乗りだった。
さらに言えば、
大学入試で落ちたけど、教員志望だったことも。
過去にもしもはないけれど、
自分の並行世界の人生を見たような気がして、
親近感と、
こんな言葉はないけど、親遠感とがあった。
この先生は私の生活エリアにお住まいなのだけれど、
路でバッタリお会いするのは初めて、
荒子観音の前の歩道で、しばし立ち話をする。
この春、中国の日本人学校への赴任が決まったという。
ひえー、そうでしたか!
持って行く荷物をまとめて、
置いていく荷物は預けてと、海外で暮らす準備は大変そう。
体験学習でお会いした二年前から、幾つもの試験を受けていたそうで、
「いろいろありましたが、ようやく行けることになりました」、という言葉が、
春の日差しのように眩しく感じた。
今日の用事は、違う道で行くつもりだったけど、
こっちの道にして良かったな。
そして、
「お元気で!」と握手をして分かれたのでした。