好きの反対は嫌いではなく無関心?②

今回は脳からみる「好きと嫌いは紙一重」のお話です。

認知症の方から、それまでとても可愛がられていた人、心が近かった人は、
「財布を盗んだ」など、妄想の対象になることが時にあります。
また怒りや嫌悪を向けられることも。

脳研究の黒川伊保子さんによると、
好きと嫌いはどちらも、情動を刺激される相手に、
とっさに抱く反応という点で似ている。
しかも脳の中では「好き」と「嫌い」は近い場所であるといいます。

なるほど。しかし、そうは言っても、
理不尽に思える言動を受ける側は、
それまで可愛がられていた分ショックも大きい…。

黒川さんは著書の中で、こうも述べています。
「脳のわずかな誤作動で、
可愛くてしょうがない人に疑心暗鬼を抱くのは当然のように起こりうる。
もしも、あなたの大事な人が認知症になって、
あなたがその大事な人から疑心暗鬼の対象にされたとしたら…。
これは愛されていた照明と思おう。難しいことだが…。」
…なんともせつない。
しかし、これを思うと、また違う視点に立つこともできますね。

心理学でも脳においても、「好きと嫌いは紙一重」。
これは日常のあらゆる人間関係で起きることですよね。
強い情動の振り子は両極に振れてしまいがちで、
そんなやりとりの人間関係は、苦悩とあやうさがあるものです。
(それだけに気づきが大きく、けっして悪いものではありません)
かと言って、一見波風のたたない無関心な関係は、心に充足感がありません。
では、どうしましょう?
コツコツと信頼や敬意で積み上げた関係は、
お互いの心に充足感を与えあい、なかなか揺るぎにくいもの。
揺るがない関係を築く手助けは心理学の「技術」にあります。

*過去記事の
「優しさを伝える技術」、
「コントロールドラマ」、
「オキシトシンを考える」もご覧ください。

(おわり)

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