眼鏡

眼鏡をかけなくなって、今日で四年になる。
その何年か前には目が不自由になっていたので、
愛用の眼鏡達は、視力のための道具ではなくなっていたのだけれど、
物や障害物から目や顔をガードするためにも、そのまま眼鏡はかけていたのだ。

ちなみに、視覚障害の人がサングラスや眼鏡をかける理由は様々ある。
光の調節機能の関係や、眼をぶつける保護、眼球の見た目の変化の配慮、
花粉や塵や紫外線のガード、もちろんファッションとしても。

大村崑か、おぎやはぎ並みに眼鏡が似合っていた私は、
趣味と実用兼ねて、若い頃から眼鏡に凝っていた。
そんな愛する眼鏡をかけなくなったきっかけは、父の葬儀だ。
父との何らかの解放、というわけでもない。
眼鏡=コンプレックスというのも早計だ。
葬儀会館に寝泊まりすることになったので、眼鏡は家に置いていくことにした。
だって、枕元の眼鏡を踏んづけたりしたらワヤやがね!
それ以来だ、ピタリと眼鏡をかけなくなったのは。

いや、伏線はあった。
父の亡くなる前の年からサンダーと歩くようになり、
物や人にぶつかることがなくなった。
それで、目の見えない生活に慣れて、やがて自信がついてきて、
目が見えないってことも、ようやく受け入れることができた頃。
自信は、自分の受容を助けてくれるね。
今日は、父の四回目の命日だ。

何年かぶりに会った人に、
あれ? なんか雰囲気が違わくない? 
ちょっと変わった?と言われることがある。
やっぱり、眼鏡は顔の一部だったかしらん。

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