「ええカッコしい」は生き延びるため

私が心理カウンセラーを目指すきっかけになったセミナーでの話。
このセミナーはとにかくハード(日数も)。
このプログラムは、アメリカで受刑者の更生に採用されてもいるそうです。
それを後から聞いて、「そりゃハードだったわい」と納得したほどでした。

内容は、心理学の交流分析。
自分のコミュニケーションの癖やパターンから、自分を知るアプローチです。
自分の思い癖や、馴染みの感情や、歪んだ思い込み等々を見つめます。

中でも大変だったのが、このセミナーで「まがいもの」と呼んでいたもの。
ほとんどの参加者はジタバタし、堪らず泣いてしまう人も(フムフム含む)。
それも当然で、生き延びるために身に着けた「ずるいやりかた」を
自分で見つける作業だからです。
生き延びるための「ええカッコしい」。
いい顔(他もあります)する、本物ではない偽物っぽいという意味の関西弁です。

「ええカッコしい」が生き延びるための方策であるとは、こういうことです。
幼い頃は一人では生きてはいけません。
親や、親替わりの人に注目されてケアしてもらわないと、
たちまち死んでしまうからです。
また安全を確保するために、なお気に入られないといけません。

注目されて、気に入られるためには幼子なりに
黙ってみたり騒いでみたり、笑ってみたり泣いてみたり。
元気にしてみたり病気になってみたり。ワガママ言ったりガマンしてみたり。
あの手この手で、親や親代わりの人の気をひく条件をリサーチします。

たとえば、ある子は「いい子」にしていたら気を引けることが分かりました。
またある子は「悪い子」にしていたら効果があることを知ります。
ほんとうの自分がどうであろうが構いません。
だって生き延びるためなんですから。

こうして生き延びるために確立した「ずるい手口」は、
大人になっても知らず知らず続けます。
しかしとても歪んだ「まがいもの」なので、破たんしています。
しかし、それがどんなに自分を苦しめようが、まわりに迷惑かけようが、
手放すほうが怖いのです。
だって、これで生き延びてきた幼い記憶があるのですから。

…と、こんな「まがいもの」を見つけて、
なおかつ手放して(手放し続けて)いくレッスンですから、
そりゃハードです。あえてファシリテーターは挑発したり。
その自分のとっさの反応で気づくことも。

あ、また出てきたなと気づいたら、
まるで玉ねぎの皮を一枚一枚むくように手放します。
つまり、その手口から降りるのです。降りつづけるのです。

すると、いつしか自分が投影していた現実が変わっていくことに気づきます。
ああ、ええカッコしいの私でなく、「ただの私」でいいのだ…。
こうして本当の自分を愛することができるのです。

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