自分は匂いにはうるさい人なんです。
そう語る人の指先に、タバコと缶コーヒーがあって、
ムズムズするような、なんだか困ってしまったことが若い頃にあった。
こういう人、愛すべき人って言うのだろうなぁと思いながら、
まるで私の姿を見るようでムズムズしたのだった。
自分のことは、なかなか自分では気がつかないけれど、
他の人の姿を見て、自分を知ることがあるものだ。
こりゃ自分だ!と、イテテテテ!となったり、
反対に、自分が探していた何か美しい物に気がついたり。
良くも悪くも映し出す鏡は、他の人にとって自分もそうなのだけど、
じゃあ、お利口にしよう、とか、
ワルぶってみようか、とか、
なにも取り繕う必要はなくて、
「そのまんま」が、誰かにとって気づきの鏡になったりするものなのでした。
(愛すべき人って、そういうところがあるよなぁ)