「写真家・佐藤加奈遺作展 彼女の観ていた世界」

「私、地球に観光に来たんじゃないかな」と彼女は言った。
宇宙船の窓の外の地球をワクワクしながら眺めた記憶があるの、と。
美しい自然を見たり美味しいものを食べたりするのが観光だけど、
たしかに彼女は旅が好きで、美しいものと美味しいものも好きだった。
旅人が現地の人が気づかない土地の魅力を見出するように、
彼女は地球人の私に美しさや美味しさを教えてくれた。
本質的な美しさや、素材のもつ美味しさを、
彼女は最も大切にしていたのだけれども、
その視点は人にも向けられていたと思う。
彼女がポートレートを撮りだした頃には、私は視力をなくしたので、
ポートレートの作品群は見ていないのだけれども、
いつも撮影時の話を電話で聞かせてくれていた。
皆なにかしらドラマがあって、
ほんと、ドラマにならない人生なんてないのだ。

人生は旅のようなものだと言う。
そういえば、観光って光を観るって書くわね。
素晴らしいもの、美しいもの、光あるものを見つけにやって来たのは、
誰もが皆、おなじなのだと思う。

***

佐藤加奈さんの高校同窓生の皆さんによって開催された展覧会です。
私も先日見にいきましたが、とても素敵な遺作展でした。
以下は実行委員会の案内文を転載させていただきます。

「写真家・佐藤加奈遺作展 彼女の観ていた世界」

会場:兵庫県小野市役所一階ウエルカムギャラリー
日時:2022年12月10日~23日 9時~17時

私たちの仲間、佐藤加奈が56歳で亡くなった。
非常に残念でならない。
彼女はフォトグラファーとして活躍を始め
歳若くして当確を現わしてきた矢先の死だった。
その才能を惜しみ、ここに遺作展を開催し、
彼女の観ていた世界を追体験しようと思った。
佐藤加奈遺作展 実行委員会

***ここまで

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