「11人いる!」 萩尾望都・著

突然ですが質問です。
アクシデントやトラブルに遭った時、
「成功する人」や「成長する人」は、以下のどちらのタイプだと思いますか?

①思いがけないことが起きた時、自分以外(他人や周囲)のせいにしがちだ
 (他責・他罰的)
②思いがけないことが起きたとき、自分のせいにしがちだ
 (自責・自罰的)

答えは①と②の「どちらでもない」。
たとえば、「部下のせいだ」と責任を押し付けるのでもなく、
「私が悪い」と必要以上に自らを責めることもしない。
「じゃあ、どうしたらいいのか」にフォーカスするタイプ。

たとえば宇宙飛行士だったら?
自分や他の乗組員の命に関わるようなアクシデントに遭遇した時、
「あなたの整備が悪かったからよ!」 「なんだとー!」とか、
「なにもかも、この俺が悪いんだ」と言っている場合ではないはず。
きっと乗組員全員が「じゃあ、なにをどうするか」に集中するでしょう。

今回ご紹介するのは、40年前に発表されたSFマンガで、
度重なるアクシデントやトラブルに遭いながら、成長していく若者たちの話です。
舞台は外部との通信すらシャットアウトされた、閉ざされた宇宙船。
宇宙大学の最終試験に、様々な星からやってきた10人がシップに乗り込みます。
合格条件は、10人全員で53日を無事に生き延びること。
なのに10人のはずが、気が付けば11人いる!

誰が11人目なのか疑心暗鬼のなか、次々と宇宙船にトラブルが襲います。
おまけに育った星も違えば、文化も習慣も価値観も(見た目も)皆バラバラ。
メンバーの諍いも次々と発生する始末。さて、どうなる?

いづれは故郷の星の未来を担うことになる、
まさに「希望の星」の彼らに、
必要な要素は何か?を丁寧に、そしてスリリングに描きます。
そして私たちにも、「大きな船の乗組員」であることを思い起こさせるのです。

「11人いる!」
萩尾望都・著
小学館文庫

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