「シンデレラボーイ シンデレラガール」橋本治・著

もし若い頃に、橋本治の本を読んでいなかったら?
どうにかこうにか、今まで私が持ちこたえてこれたのは、
橋本治のおかげ、と言っても言い過ぎじゃない。
名著「シンデレラボーイ シンデレラガール」で、
自分をやっと分かってくれる人がいたと、
二十歳そこそこだった私はボロボロ泣いて、
しばらくは橋本治の評論ばかり読んでいた。

世の中や物事は、実はこういう仕組みで、
キミのモヤモヤの本質は、こういうことじゃない?
橋本治は、とても難しいことを、
易しい言葉で手トリ足トリ説明してくれるのだけれど、
滋養のある食べ物は、よーく噛まないといけないように、
橋本治の本は、読むのに何かしらの筋力が要る。

道に例えて言えば、
クネクネ道だったり、
ちょっと脇道に入ってみたり、
一旦また路を遡ったりする。
うわ、迷子になった…と心細くなっていたら、
スパーンと目の前が開けるドンデン返しだ。
心と頭のサーキットトレーニングのようで、
読むのにフウフウ、
ついていくのがやっとな感じ。

でも、自分で考えたり答えが出るって、
こういう面倒に思える道のりで、
プロセスだって大切なんだ、と気づかされる。

だから、橋本治は一貫して安易に答えは教えてくれない。
近著「負けない力」でも同じこと言ってる。
いいかい?
自分への問いが生まれたら、こっちのものさ。
キニの答えはキミの中にあるんだからね。
そんな橋本治のいいつけを、
忘れた頃に思い出しては、自問自答していたけれど、
久しぶりに「シンデレラボーイ シンデレラガール」を
視覚障害者音声図書で読み返してみると、
ぎゃあ! すんごいこと書いてあったんや!
カウンセリングの内容じゃないんだけど、
神髄としか思えないことが書いてあって、
橋本治も、私のカウンセリングの恩師だったのねと思ったのでした。
(いま読んでる「負けない力」も、すんごいこと書いてある)

「シンデレラボーイ シンデレラガール」
橋本治・著/河出文庫(現在は絶版)

「負けない力」
橋本治・著/大和書房

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>