キャンバスの裏側

人生を変えるような出会いが誰にでもある。
写真家の友人にとってそれは、
「変なおじさん」(志村じゃなくて)だった。
「変なおじさん」に出会って、
それまで見ていた世界が変わったと言う。

そして素敵なのは、
宝物のような経験は、
宝物のごとく誰かに伝承せずにはいられないってこと。
(なので、今日も友人のブログからシェアします)

****ここから転載

『キャンバスの裏側』
学生の時、世界的に有名なモダンアートのアーティストの先生の授業を受ける機会がありました。先輩たちから「変なおじさん」と聞いていましたが、たとえばクラスメイトが白いキャンバスに何かを貼り付けた作品を見せにいくと、手にとるや否やくるっと裏返して「きれいですね!」とか、廊下に落ちてる雑巾が乾いて固まってるのを見て「美しいですね。誰の作品ですか?」とか、毎回「ええ~!?」なことばかりでした。でも先輩が「あれは、私たちのものの見方を変えるためのパフォーマンスなのよ」と解説してくださって、なるほどな~と思ったのでした。

毎週何らかの作品を作って持っていくのですが、次は「キャンバスの裏側まで見られることを予測して作品を作ろう。」とか、作っていかなければ、朝から必死で壁の染みとか雑巾が落ちてないか探したり、学生たちには知恵がついてきます。一学期終わる頃には、「これ面白いんじゃない?」とゴミ捨て場から何かわけのわからないものを拾ってきて見せ合ったりも。

その経験は私にとって一生の財産になりました。キャンバスの裏の可能性は、私の見える世界を倍にしました。どこに可能性があるかは、自分の見方で広げることができると知ったのです。

その数年後、千利休が朝鮮半島の名もない陶工が作ったご飯茶碗を茶会に使ったエピソードを知り、利休もキャンバスの裏側を知ってる人なんだと思いました。

年に何回か写真教室や高校で写真の授業をさせていただいていますが、「可能性を全て試してみてください。」とお話しします。フィルムのカメラだったらさすがにオススメできませんが、ありがたいことに時代はデジタルなので、いくらでも撮って消せます。どこに美しさや面白さがあるかわからないので、「どこからも撮ってください。被写体の周り球体に可能性があると思って。」と。特に人物ではカメラの位置が数センチ上下するだけで表情のとらえ方は変わります。

もしお子さんやご家族を撮るときいつも同じ目線から撮っているとしたら、それはとてももったいないことです。全ての可能性を試してみてくださいね。またいつもと違った表情や雰囲気に出会えるはずですから。

****転載ここまで

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