「無人島レコード」レコード・コレクターズ増刊

無人島に一枚だけレコードを持っていけるとしたら何を選ぶか。
そんなお題の本(ムック)が、「無人島レコード」。
「3度の飯よりレコが好き」な、
音楽家、ミュージシャンや作家など錚々たる面々が、
「一枚だなんて無茶な!」と言いながらも選んだ理由と愛を語るのが楽しかった。

無人島に行くのなら
レコードよりもナイフを一本持っていくとか、
彼氏や彼女を連れて行くとか、
電源はあるのか、とか余計なことを考える凡人は、この本の中にはいない。
私はと言うと、先に書いた「ナイフを持っていく」派。
無人島というシチュエーションが、元キャンパーの私を本気にさせるからであって、
他の設定だったらすっごく悩むと思う。
昔、ビデオデッキの故障で、
エジェクトボタンを押してもビデオテープが出てこなくなり、
入っていたアダルトビデオしか再生できなくなった人の話を聞いて
気の毒と思いながらも大笑いしたことがあったけど、
再生デッキやターンテーブルの不具合で、この一枚しか聴くことができない設定はどうだ。
私は普段の生活では音楽を聴きたいけど、
無人島だったら、波の音や鳥や虫の声を聴いていたい。

…いやいやいや、こんなゴタゴタ言ってないで、
「無人島に持って行きたいくらい大好きな」レコードはどれか?なんだけど、
私でさえ一枚だけなんて選べないと思うのだから、
大瀧詠一さん、細野晴臣さん、小西康陽さん等、
とてつもない音楽の巨匠の方々が三日寝ないで選んだ一枚は興味不快。
しかし、レコード自体を選ばなかった人が一人いた。
大瀧詠一さんは、「1962年から66年までの米ビルボードトップチャートのリスト」だった。
理由は、「曲名と歌手のリストさえあれば脳内で再生できるから」。
反則じゃん!と私も誰しも思ったに違いないが、
たしかに本当に大好きなレコードって、脳内で曲順通りに再生できる。

だから本当はレコードそのものというよりは、
そのレコードを聴いていた頃の思い出とかエピソードが、
無人島での困難や孤独に負けない心の支えになってるとしたら…。

まぁ、一枚に選べないんだけど、
何度も音楽に助けられた身としては、
やっぱり持って行きたい。無人島だろうが荒野だろうが。

「レコード・コレクターズ増刊 無人島レコード」1と2
能地 祐子(編集)

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