ワクチン副反応、名古屋市に開示命令‥名地裁判決
2023/06/16 05:00
新型コロナウイルスのワクチン接種後の副反応に関する文書を名古屋市が非公開としたのは違法として、愛知県あま市の会社員男性(44)が名古屋市に文書の一部公開と5000円の慰謝料を求めた訴訟で、名古屋地裁は15日、請求を認める判決を言い渡した。剣持亮裁判長は「市が漫然と非公開を決定し、原告の知る権利を侵害した」と述べた。
公開を求めたのは、ワクチンを接種した患者に副反応を疑う症状が表れた際に医師らが患者の情報や症状などを国に報告する文書で、自治体にも共有される。男性は名古屋市が2021年8月~22年2月に受理した文書の公開を請求したが、市が非公開としたため、「患者の年齢」や「接種日」などの情報の開示を求めて昨年3月に提訴していた。
市側は「個人が特定される」などと主張していたが、判決は「個人が識別される可能性は抽象的なものにとどまり、全て非公開とした市の判断は合理性を欠く」と指摘した。市の新型コロナウイルス感染症対策部は「判決文を精査し、今後の方針を検討したい」としている。