月別アーカイブ: 2014年8月

音と記憶

春の終わりの頃だったと思うが、
長年の友達が遊びに来た時のことだ。

午前中のお茶の時間に、不意に外から大きな音がした。
我が家の近くには小さな町工場がある。
そこから金属を加工するのか、打ち叩く音が数回したのだ。
私はお茶のゆったりした時間を少し邪魔されたような気がして
うるさいなとも感じたのだが、
しかし友達は「あら!素敵!」と声をあげたのだ。
え?どこがー素敵なのー?
「あの家お昼ごはんかなー?、船が出るよーって感じだねー!」

友達は日本海の港町に生まれて、
中華街のある港街で育っている。
亡き父上は海外航路の船員さんだった。
幼い頃には、父上が日本に一時帰港する度に
各地の港に面会に行っている。
私はそれを思い出した。
船の出航のドラの音みたいに聴こえたのね。
そう分かった途端に、
大きな船が何色もの紙テープを纏っている姿や、
しばしの別れに手を振る人々が浮かんできた。
ああ、これは素敵だねえ。

でも、ごはんだよーのドラの音は?
いくら中華街でもしないよねえ?
お腹すいてた?

本を読むには サピエ編

こんにちは、フムフムです。
いかがお過ごしですか?

視力があった頃は、仕事帰りに本屋に毎日立ち寄っていました。
本が好きというよりは活字が好きだったのでしょう。
ひまさえあれば活字を読んでいました。
今はもう目で読むことはできなくなりましたが、
読書はできます。
ん?読書?

私たち視覚障害者の読書の強い味方、
その名は「サピエ」。
サピエとは、視覚障害者の方
様々な障害で読書が困難な方々に
点字、音訳データ当の情報を提供するネットワーク図書館です。
点字が15万タイトル以上、音声データが5万タイトル以上にのぼります。
日々新着データがアップされていてどんどんタイトルが増えています。
それをパソコンや専用端末にダウンロードして音声で聴くことができるのです!

一昔まえは図書館の対面読書サービスが主流だったのではと思います。
一冊終わるまで時間も日にちもかかるし、
なにしろ出向かなくてはならない。
気楽に読書というわけにもいかないですよ、これは。
カセットに録音した音声図書もあったそうですが、
一冊で何巻のテープになるのやら、ですよ。
いい時代に生きてるな~自分!
(また、視覚障害者イコール点字と思われるかもしれませんが、
点字が読めるのは視覚障害者の一割ほどだそうです。)

近年はキンドルなど電子書籍もありますが、
基本的に健常者向けのシステムで、
音声で聴くとしても視覚障害者が利用するにはまだハードルが高いのです。

サピエ図書館の利用は無料です。
気楽にいつでもどこでも読書ができるのです。
視力を失っても読書の楽しみを失うことはないなんて、
つくづくいい時代だなあ。

初盆と平家パイ

こんにちは、フムフムです。
お盆ですね、いかがお過ごしですか?

我が家は父の初盆です。
父の実家からお供えをいただいたのですが、
その中に「平家パイ」が入っていました。
平家パイ…。初耳です。
あの源氏パイのまねっこかしらと思いきや、
源氏パイと同じ菓子メーカーさんで、
どうやら源氏パイと姉妹品のようです。

父の実家は宮城県の山奥で、
ガイドブックに秘境の湯と紹介されるような温泉に近いところ。
平家落ち武者伝説もあったりします。
(日本各地の辺境にありがちですが)
本場?からやって来た平家パイ、
側面に、平家パイの名前の由来が記載してあります。
パイの四角い形状を源氏の放った矢を受ける平らな盾、
レーズンは矢を何本も受けた跡をイメージしているそうです。
…平成になっても合戦が終わっていないかのような。
源氏パイのハート型のノンビリ感とは対照的です。
中央には二つに割れやすいように工夫もあります。
盾なのに割れやすくとは斬新です。

帰省した姉の一家と平家パイで盛り上がる初盆。
父も笑っていることでしょう。

やかんさま

こんにちは、フムフムです。
いかがお過ごしですか?

先日、母が敬老パスを紛失してしまいました。
(敬老パスとは、名古屋市の市営交通機関が乗車フリーになる
高齢者に優しい制度。フムフムも障害者用をいただいています)
かばんの中を探しても、
部屋中どこを探しても見つからない。
こんな時は「やかんさま」の出番!
(地域限定の風習でしょうか?
東北出身の母は知らなかったそうです。)

やかんさまとは、失せ物の神様。
やかんにハチマキをしめて、
「やかんさま、お願いします」と唱えます。
我が家はやかんが無いので電気ポット。赤。
豆絞りの手ぬぐいでキリリ。
どことなく和洋折衷な佇まい。

なんともユーモラスな「おまじない」ですが、
効果はてきめん。
ほどなく、バスの中で落としたのでは?と気がついて
交通局に電話をしたら「届いていますよ」とのこと!
やっぱりすごいなー、やかんさま。

あれこれ思考で判断することを一旦とめて、
ポジティブな未来を思いうかべると、
インスピレーションが降りてくるのかなあと思ったりして
なにしろ潜在意識は
顕在意識の10倍ですからね。

優しさを伝える技術

ユマニチュード(Humanitude)という言葉を聞いたことはありますか?
最近テレビなどで取り上げられたこともあるそうなので、
ご存知の方もおられると思います。
私は歌手の矢野顕子さんがツイッターで紹介されていて知りました。

ユマニチュードとは、フランス発祥の認知症ケアの技法です。
認知症の方に接する画期的な手法として注目が集まっていて、
今年6月には日本ではじめてのユマニチュード入門書も刊行されたそうです。
著者は日本人医師の方。
その本の帯にはこう書かれています。


魔法? 奇跡? いえ「技術」です。
「この本には常識しか書かれていません。
しかし、常識を徹底させると革命になります」

さまざまな機能が低下して
知的に判断することが難しくなってしまった認知症の方に、
「あなたのことを、わたしは大切に思っています」というメッセージを
どんな状況になっても失うことのない感情に届けるメソッド。
私はyou tubeで以下の番組を見ました。
私の場合は「聴きました」ですが、
心が震えました。
見つめる・話しかける・触れる。
一見あたりまえのように思えることが、
いかに人の尊厳に関わっているかを、
創始者のジネストさんが教えてくれました。

ユマニチュート / 認知症ケア 優しさを伝える技術 – YouTube

Life is comin’ back

こんにちは、フムフムです。
いかがお過ごしですか?

今日はLife is comin’ backと称して、
視覚障害者としての視点から
日常のあれこれを書いていきたいと思います。
lifeは日本語で生活や暮らしという意味ですが、
英語では生命という意味合いもあるんですって。
そしてこのタイトルにキュントしたアナタ、
30代後半~40代後半と推測いたします。

さて。
フムフムは盲人なのにどうしてブログができているの?
と素朴な疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
そもそもパソコンって、目が見えないと使えないよね??

視覚障害者は(とくに私のような全盲は)
盲人用の音声ソフトをパソコンに入れて、
音声で情報を聴いたり、音声を利用してパソコンを操作しています。
(弱視の方は画面の拡大機能や、
コントラストを効かせた白黒反転機能をを使っておられます。)
カーソルをマウスで動かすことは視力が無いので無理。
そこで操作はすべてキーボード。コマンドきーを駆使して操作しています。
そうしてメールや文書の作成、ネット閲覧や表計算もできるんです。
いや~、IT化ってすごい! 
ありがたい!
でも、一昔前はたいへんだったそうです。
いい時代に生きてます。

もし、お知り合いが目の病気になってしまったり、
視力を気になさっていたら、
便利なツールがあるらしいよと伝えてあげてくださいね。
そんな情報が助けになると思います。

これから私がどのように日常をおくっているのか
このシリーズでゆる~く書いていこうと思います。
アイメイト(盲導犬)のサンダーも、たまに登場します。

気のせい?

こんにちは、フムフムです。
台風一過の今日、いかがお過ごしですか?

私は昨日まで夏風邪をひいてしまい、すこしくにゃっとしていました。
より詳しくいうと風邪に似た症状
鼻炎・関節痛・倦怠感・食欲不振。
これはまさしく風邪じゃん!と思われるかもしれませんが、
自分のなかでは風邪ではない感覚があるんですよね。

天気や気圧の変化によって体調が左右されることは、
個人差はあれ感じたことのある方は多いと思います。
大気の気圧が自律神経に影響をあたえることは知られています。
低気圧が近くなると腰痛や頭痛がしたり、
古傷がうずいたりしますよね。
低気圧により副交感神経が優位になり、
眠くなったり、だるくなったり。
人によっては気分が落ち込んだりもします。

先に述べた私の症状は気圧によるところが大きいです。
その証拠に台風が去ってしまうとケロリ。
気のせい? いえ気圧のせい。

気分の落ち込みや体調不良を、
なんだか自分のせい? 心のせい?と思っている方は、
ここしばらくの気圧配置を思い出してみましょう。
それだけで気が楽になるかもしれませんよね。

はじめまして! フムフムです

ようこそ!

「ブログでフムフム」へお越しいただきまして誠にありがとうございます。

私は高橋智子(たかはし ともこ)と申します。
アイメイト(盲導犬)のサンダーと暮らす全盲の視覚障害者です。

このブログでは「フムフム」。
心理カウンセラー・フムフムが、
日常で「ふむふむ」と感じたことや気づきを綴っていきます。
ときにはカウンセラーとして心理学を、
また、心や身体のリラクゼーションのあれこれをご紹介していきます。

お読みになった後に、
あなたの心と意識がふんわりと柔らかくなる、そんなブログを目指しています。
どうぞ、おくつろぎいただけますように。

*現在はカウンセリングを行っておりません。
カウンセリングルーム HumHum(フムフム)のホームページはこちらです。

http://hum-hum.jp/