間違えられようがない

「最近は見かけなかったので、どうしていたのかしらと思っていました。」
見知らぬ人に声をかけられたことがあった。

…えーと、どなただったかな?
これが近所であれば、不思議なことではないのだけれど、
家から相当に離れた地下鉄の車両の中である。

私がポカンとしていると、女性は説明してくれた。
私とサンダーが、地下鉄を利用しているところに、
しょっちゅう遭遇していたそうだ。
一年半、週に二日、地下鉄を乗り継いで、
リハビリセンターの視覚障害者の訓練に通っていたので、
きっとその時だったのだろう。

しかし、訓練も終わって一年以上は経ったときの話である。
顔の覚えがよい人だなぁ…。
驚いたけれど、すぐに納得。
そもそもサンダーと一緒だから、間違いられようがないよね。

けっこう見られているし、
覚えられているんだ。
…ありがたいなぁ。

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