名古屋は喫茶店のモーニングサービスが有名であるが、
モーニングサービス発祥の地は、尾張の一宮である。
(一宮の理由については、有名な話なので割愛)
私は一宮に五年ほど暮らしていたのだが、
さすが発祥の地、モーニングサービスが充実していた。
ホットドッグにポテトチップスだったり、
トーストに味噌汁が付いていたり。
しかし、それが名古屋のある愛知県から、私の実家があった岐阜県に入ると、
モーニングサービスはさらにヘンテコな発展を遂げた。
トーストに味噌汁が付いてくるのはノーマルで、
茶わん蒸しが付いてきたり、
うどんが付いてきたり、
みたらし団子が付いてきたり、
なぜか幕の内弁当が付いてきたりした。
もちろんコーヒー一杯だけの値段である。
「終日モーニングサービス制」のお店もあったりして、
もはやモーニングなのか、コーヒーのほうがサービスなのか、
よく分からない領域に突入していた。
私はモーニングサービス変容の地で育ったので、
これが普通と思っていた。
関西から来た友人が驚くのを見て、
「なんで?」とポカンとした。
東海地方以外ではモーニングサービス自体が珍しいと知って、
ひどく驚愕したのだった。
自分の普通がグラグラするのは面白い。
例えば海外旅行だったら自分の価値観も相当グラグラする。
しかし旅行でなくても、自分以外の人と話をすることも、
また相当にグラグラで、それが面白いものだ。
しかし、「私って変わってるんです」とアピールする人よりも、
「私は普通で…」と言う人のほうが、
よっぽどじゃないか!と思うことがある。
そしてモーニングサービスのことなど思い浮かべたりするのだった。