失敗を乗り越えるのは成功体験①

15年ほど前になるだろうか、
兵庫県の三木市にあるホースランドパークで馬術大会を見た時のこと。
(ちなみに、まだ視力があるときです)

人馬一体って、こういうことなのねー。
馬が美しいステップをふむ、まるでダンスしているような馬場競技と、
バーをフワリと跳び越える障害競技を見たのだが、
あれ?と謎に思ったのが障害競技。
(なにせ何年も前の記憶なので、正確ではないかもしれないが)

跳躍で馬がバーを落とした場合、
そのペアの演技自体が終了した直後に戻って行って、
失敗したバーをクリアするまでジョッキーが跳ばせていたことだ。
クリアしてから、次のペアが出走していた。

この謎、先日のリオ五輪で解けたのだ。
馬は賢く、繊細で臆病なところもあるので、
失敗体験で終わると、馬はその体験を憶えていて、
次の機会にあきらめて、跳べなくなってしまう。
だから、バーをクリアした成功体験で終わらせるのだとか。

…へぇー、そうだったのか。
私も似たような経験がある。
ジョッキーじゃなくて馬の気持ちなんだけど、
目の見えない日常は、いくつものバーがあるようなものだ。

ここで思いだしたのは、
入会していたスキューバダイビングクラブのインストラクターさんの体験談だ。

インストラクタートレーニングのダイビング中にパニックになった。
やっとの思いで浮上して陸にあがっていた私を、
師匠は「俺とすぐ潜れ!」と命じたのです。鬼かと思いました。
でも、おかげで今があります。
あの時、泣いて怖がる私を掴んで、
「お前は二度と海に潜れなくなってもいいのか!?」の師匠の言葉は忘れません。

…命を預かるインストラクターさんの、命がけの克服話だ。
これは極端な荒療治で、
もちろん心理カウンセリングの世界では、こんな極端で無茶なことはない。
いくつも段階をふんで、
クライエントさんに小さな成功体験を積んでもらうのは言うまでもない。

失敗というバーを乗り越えるのは、
怖さをを喜びに変えるのは、
やはり成功体験なのかもしれない、と思ったのでした。

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