失敗を乗り越えるのは成功体験②

夕方にサンダーと歩くと、秋刀魚を焼く匂いがするようになってきた。
こないだは「あ、秋刀魚」「こっちも秋刀魚」状態だった。

アイメイトのサンダーとペアになりたての、しばらくの間だったろうか、
そういえば、家の周囲を歩いていて街の匂いが分からなかったっけ。
反対に、やけに音が大きく聴こえたものだ。
いつの間にか匂いが分かるようになり、音も普通の聴こえになった。
あの頃はストレスのかかる状況だったのかな、と今にして思う。

家から数分の最寄りの駅まで行って帰ってくるだけで、
身体はガチガチ、真冬なのに汗かいてグッタリのクタクタ。
サンダーとの意志の疎通もまだまだの時期、
引っ越ししたばかりだったので、地形も道も知らないオマケつきだ。
家の前を通り過ぎたり、違うとこで角を曲がったり、
とほほ…。
片道数分の駅が、果てしなく遠く感じられたのだった。

しかし、出かけたら家に帰らない訳にもいかないので、
午前に失敗した場所に、午後から出かけてはクリアするを繰り返した。
「なんとか家に戻ってきた!」が、この頃の成功だったのだ。
ばんざーい、嬉しいなぁ~。玄関でしみじみ思ったものだ。

健常者の方にしたら、「そんなことが?」かもしれない。
困ったことを、「そんなの、どこが問題なんだ?」とはなから笑われもした
(反面教師というのか、私を映し出す鏡になってくれる人はありがたいものだ)
しかし、大変な思いをした経験を持つ人や、
そんな人達と向き合い続けてきた人は違ったのだった。
そういえば、今でもお付き合いの続いているのは、そんな在り方の人達だ。

次第に駅からノーミスで帰れるようになり、
いつしか、ぐるりと一時間ウォーキングコースも何本か開拓した。
…サンダーよ、思えば遠くに来たもんだねー。

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