母が50の誕生日を迎えた時、真顔で言った。
「折り返しかぁ…。」
聞いていた私たち姉妹は、同時にのけ反ったのだった。
これはわが家で語り継がれる「母 折り返し伝説」である。
実際、母の祖父(私たちの曽祖父)は
百歳の大往生だったのだ。
身近な家族がロールモデル(規範や目標になる人)に無意識になるものだが、
元気で達者、シャンと革ジャン姿で裸眼で新聞を隅々読んでいた曽祖父は、
「折り返し」のこの上ないロールもでるだったのだろう。
私の初めの身近なロールモデルと言えば、やはり二歳上の姉だ。
例えば、本や音楽が好きなのは姉の影響が大きい。
ある時期に自分らしさを見つけるまでは、
途中まで姉の後ろを泳いでいたのは間違いない。
姉がこの上ないロールモデルで、
また義兄もそうであることは、
姪と甥を見てもわかる。
四半世紀弱前に二人してのけ反っていた姉も、
わが家の伝説のターンを迎える。
(おめでとう!)