魔法の言葉 名古屋ウイメンズマラソン(後編)

今年がいちばん楽しかった!と母が言う。
母は毎年、名古屋ウイメンズマラソンを観戦しているのだけれど、
今年は大会ボランティアで参加したのだ。

母のチームの受け持ちは31キロ地点。
このあたりとなると歩いているランナーも増えてきて、
歩いているランナーに、自転車にのったスタッフがリタイアをうながしはじめる。
時間制限もあるけれど、なにより無理をさせてはいけない。
あちこちに医療スタッフが配置され、
後ろから、ランナーを収容する名鉄バスが4~5台ついてくる。

31キロ付近に、ランナーの会のサービスブースがあって、
そこから「とっておきのひとこと」がランナーに飛ぶ。
その言葉を聞いて、再び走り出すランナーのいることいること。
「ティファニーが!」
「まだティファニーが間に合うよ!」
そう、大会を完走した全員プレゼントは、
ティファニーの大会オリジナルペンダント。

普通は「あと10キロ 頑張れ!と言うと思うんだけどね、
「ティファニーが!」なのよ、と母。
ティファニーの魅力ももちろんだけど、どこかユーモラスで笑いを誘う、
このひとことの効き目といったら、まるで魔法みたいだったとか。

トップ集団の走りは本当にアッ!というまなのだそう。
もう来たの?! え、もう行っちゃったの?!で、
それから後は延々と市民ランナーが賑やかに、
コスプレをしたランナーやランニングドクターも走り抜け、
歩いているランナーは、魔法の言葉で走り出す。
そっか、たくさんのドラマ、たくさんの女神たちが来ては去っていったんだね。

こんな楽しい体験、観ているだけじゃなかったわ!
そう言って母は、いつもより元気に帰ってきたのでした。
(あなたの魔法の言葉はなんですか?)

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