若い頃にサボテンを育てていた。
サボテンが宇宙と交信するショートショートストーリーを読んで、
べつに信じたわけではないけれど、ロマンチックだなぁと思って集めていた。
育てるのは簡単だというイメージのサボテン、実はそんなことはない。
朝顔のように、毎日お水をあげたらいいわけでもないし、
観葉植物のように、葉の状態を見て「お水ほしいのかい?」と分かるのでもない。
サボテンは何を考えてるのか分からないというか、顔色が分からないのだ。
何かおかしいと気がついた時には、もう手遅れ、
表面は変わらないのに根腐れしてたり、空洞になっていたり。
ベビーサボテンは全滅したけれど(赤ちゃんだから難しいと後から知った)、
ポーカーフェイスのサボテンたちとの付き合いのコツも掴んで、
柱サボテンと球サボテンは、鉢を何度か大きくしたくらい成長した。
ある時、柱サボテンの頭が急に、にゅぅと萎びて細くなったことがあった。
その後にまた戻ったのだけれども、くびれが残った妙なサボテンになった。
手入れは怠ってはいなかったのに?
あっ!と気が付いた。
私が心身ともに参っていた頃に、サボテンに異変が起きていたのだ。
宇宙とじゃなくて、私と交信していたの?
(元気を分けてくれていたのかい?すまなかったなぁ。)