「サンダードッグ 9.11 78階からの奇跡の脱出劇」マイケル ヒングソン著

崩壊寸前のワールドトレードセンタービルから生還した、マイケルとロゼール。
マイケルは、ビルの78階にある自分のオフィスでテロに遭遇する。
焦げた匂いが充満し、ビルの照明も消えてしまったなか、
暗闇の非常階段を、マイケルは多くの人を誘導し降りていく。

いかにマイケルとロゼールが、多くの人を助け奇跡の脱出を果たしたのか?
物語は、脱出の様子を縦軸に、マイケルの半生も織り交ぜ進む。
ちなみにロゼールは、マイケルの盲導犬。
そう、マイケルは全盲の視覚障害者なのだ。

マイケルがロゼールに指示する言葉「前へ!」(go)は、
彼の人生を物語るキーワードとして散りばめられている。
ビルの奇跡の脱出劇と、
彼がいかに生きてきたのか、まるで奇跡のような半生は、
どうなるの?とハラハラしたり感動したりと、臨場感たっぷりに語られる。
マイケルとロゼールが地上へと降り立った時に、二つの奇跡の物語は完結する。

私は読み終わった跡、マイケルとロゼールみたいに泥のように眠った。
そして、サンダーに指示する「go」に、しばらくマイケルを思い浮かべた。
君は、君なりにできることを、君のペースでやっていけばいいのさ。
階段を一段一段、前へ進んでいくようにさ…。
そうか、奇跡って、ひとつひとつの小さな勇気の積み重ねだったんだね。

さて、本のタイトル「サンダードッグ」の由来は、
ロゼールが雷が苦手な犬だから。
うちのサンダーもね、サンダーって名前だけど、
唯一苦手なのが雷なのよ。

*「サンダードッグ 9.11 78階からの奇跡の脱出劇」
マイケル ヒングソン・著
燦葉出版社/2011

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