コントロールドラマ⑤ 新しいコミュニケーション

(前回からの続きです)
「聖なる予言」のなかで主人公は、
初対面の「脅迫者」タイプに脅されます。
そこで主人公は無視を決め込んで、
いつもの自分の「傍観者」のドラマで反応します。
しかし相手はつきまとってきます。
ますます脅されて、しかたなく主人公は
「被害者」のドラマで反応して泥沼に。

「お前は誰だ!」
「(無視)」
「ここで何をしているんだ!(敵意むきだし)」
「何もしてませんよ」
ー 中略 ー
「お前は迷えるアメリカ人だな!(さらに敵意)」
「その通りですよ…」

相手のドラマに自分のドラマで反応してしまったがために、
あれよあれよと、相手が望んでいた対応ドラマに巻き込まれてしまいました。
いつものシナリオ通りの、はじめから予測が可能な結果となりました。
これは古いコミュニケーションのパターンです。

一方、新しいコミュニケーションを身に着けているジュリアは、
同じく脅されて、こう振る舞いました。
「お前は誰だ!」と脅す「脅迫者」にむかって、
①「なぜ、そんなに怒っているのですか?」とたずね返して理由を聞きます。
②すると相手の態度が変わりました。
「ここを管理するのが俺の仕事だからだ。」
③「あなたが仕事熱心なのはわかるわ。
④でも人を怖がらせては、誰もあなたと話ができないじゃないの。」
彼は徐々におとなしくなって、ついには軽く会釈までして立ち去っていった。

ジュリアはドラマを演じることもなく、
相手のドラマに巻き込まれることもしませんでした。
片方がドラマを演じなかったので、
仕掛けてきた相手のドラマは成立しませんでした。

さて。
予測が可能なシナリオが消滅したので、
ここから二人は自由なストーリーをはじめています。
新しいコミュニケーションです

①ジュリアが、
「その会話の中で自分に何が起きているのか」を明らかにしました。
それは、「彼が怒っていると感じたこと」です。
純粋に感じたことだけを、正直に伝えました。
②ジュリアの誠実な態度に、
彼はこの後、もっと誠実で正直に応えることになりました。
③ジュリアは彼をねぎらい・賞賛した後に、
④彼へ自分の意見を伝えました。

また、ジュリアはそのドラマから相手の隠された動機を知ろうとしました。
そして、このドラマの向こう側の
本当の彼の姿を見ています。
「エネルギーを必死に求めている小さな男の子」の姿です。
それと同時に彼にエネルギーを送っています。
誠実に接する態度と、賞賛やねぎらう事によってです。
関わり方の違いで、
エネルギーを奪うことも、
エネルギーを与えることもできるのです。
エネルギーを与えられた彼は、ドラマをする必要がなくなりました。

しかし、エネルギーを送るには、いくつか知っておくべきことがあります。
これを知っていないと、送る側に犠牲を強いる行為となり、
エネルギーを与えるばかりで、いつしかエネルギー切れとなって、
知らないうちにエネルギー争奪戦に入ってしまいます。
次回はその解説と、
「さらにパワフルで豊かなコミュニケーション」を取り上げます。
(シリーズ続く)

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