種ともこさんのこと

ミュージシャンの種ともこ(たね ともこ)さんがガンの手術を受けていたと知る。
種さんの公式サイトによると、
2か月前に入院し手術を受け、今は自宅で療養中だという。
回復と根治を心から祈っている。

種ちゃんは、
(種さんの古いファンは親愛をこめて「たねちゃん」と呼ぶ。以下、種ちゃん)
私がライブに行った回数が一番多いミュージシャン。
80年代後半から90年代前半がほとんどだったけど、
東名阪のホールツアーの他にインストアライブ、学園祭ライブを含めると、
たぶん20回くらい種ちゃんのライブを見てきたと思う。

種ちゃんは作詞作曲はもちろん、
80年代では珍しく曲のアレンジも打ち込みも自分でやっていて、
自宅録音の先駆けのような人なのだ。
歌が上手くて、
「これは種ちゃんだな」と一聴してわかるファニーな声の持ち主。
マルチな才能で凝り性、楽曲のクオリティの高さや特異なオリジナリティから、
「日本のケイト・ブッシュ」とも呼ばれていたのでした。
だからといって、種ちゃんの曲は難解さはなくてキャッチーでポップ。
ただ、曲の物語の設定が一風変わっていた。
はじめて一人でオバアチャン家でクラシカルなお盆を過ごし、
カルチャーショックを体験しちゃったり、
ついでに初恋も体験しちゃう小学生の男の子の歌
「キュウリ de バケーション」、
片思いの女の子の前でカッコいいとこ見せようと張り切るも見事に玉砕する
「悲しき球技大会」、
片思いの同盟ができたら会長になりたい、なるに相応しい、
そしてみんな成就したら喜びあって解散すると(ひとり心の中で)高らかに宣言する
なんとも気弱な、それでいて同盟の会長に就任したいという少女の歌
「片恋同盟」など、
ラブソングなんだけど、設定が少々おかしい。
「安売り水着を結局買ったアタシの歌」に、
「タイムドライバーは仮免」など、
イマジネーションがふくらんでしまうような曲のタイトルの数々に、
「この人はコピーライターなんだろうか」とはじめ私は思っていた。

30年前の種ちゃんのコンサートといったらステージを動きまくりの踊りまくり!
それでいて、アルバムクオリティの演奏と歌をこなしてしまう。
おまけにMCが面白かった。
種ちゃんがケニアに旅行に行ったときの、
野生の動物(何だったか忘れた)と睨みあいながら、
サバンナで「大きな便り」をいたした話とか大笑いしたなぁ。
その後はじっくり聴かせるライブや、いち早く映像の凝った前衛的なライブをされていた。

しかし、30年の間に、
私自身の環境も変わり、
種ちゃんの音楽性も変遷され、すっかり離れてしまった。
東京に何かの用事があって、
日にちが合ったので寄った渋谷(銀座だったかな?)のアップルストアでのライブ以来、
ここ15年以上は種ちゃんをライブで見ていない。
それどころか知らない曲が増えてしまった。

でもね、
私がキャンプをはじめたのも、一人旅が好きになったのも、種ちゃんの影響があってのこと。
何冊かは当ブログで紹介しているけど、
読書家の種ちゃんがおすすめした本を本屋で探して読んでいた。
私の本の世界をひろげてくれたのも種ちゃん。
間違いなく私は種ちゃんから大きな影響を受けてきた。
直接お会いしたことはないけど、とても身近に思える人。

長い間ライブに行かずの私が言うのもなんですが、
そして、ご本人の目にとまるかどうかも分かりませんが、
どうか種さん、ご回復されてライブをしてください。行きます。

X’mas 種ともこ – YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=a1wH8SQKqtA

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