月別アーカイブ: 2026年4月

未来の自分をたすけるために

いしだあゆみさんが去年3月に橋本病(甲状腺機能低下症)で急死した時、
SNSでは「橋本病は死ぬ病気なのか」と驚く声が多かったけど、
長年この病気とつきあってきた私はおどろかなかった。

とてもまれなことなのだけど、
甲状腺の病気は重症化すると急死することもある。
病気に気付かずに未治療のままでいると、
平均より20年寿命が短いなんて話も。
でもこれを言い換えれば、
重症化を予防して、
きちんと治療していけば
寿命をまっとうできるということだ。

しかし厄介なのは、
甲状腺の病気は他の病気と間違えやすいこと。
多汗や動悸、自律神経の乱れ、
疲れやすさや顔や体のむくみは更年期障害と同じだし、
鬱や無気力、イライラなどのメンタル症状が出現することも。
なので婦人科や心療内科を受診してしまい、
甲状腺の病気が見逃されやすい。

さて、甲状腺ホルモンとは何か。
全身の新陳代謝、
体温や心拍数や自律神経の調整など、
生命活動に影響するのが甲状腺ホルモンだ。
このホルモンは出すぎても出なさすぎても良くない。
甲状腺ホルモンが過剰に出すぎて
全身の機能が暴走状態になり手が付けられなくなるのがバセドウ病で、
一方、甲状腺ホルモンが出なくなり
全身の機能低下もしくは循環不全になるのが橋本病だ。
橋本病は甲状腺ホルモンがずっと下がっているわけでもなくて、
バセドウのようにホルモンがですぎてしまうサイクルがある。
フルマラソンを走っている状態と冬眠状態の時期が交互にやってくるのだ。
私はその2つの時期の体重差が最大20キログラムあった。
(42キロ~62キロ 通常50キロ前後)
…これはおかしい。首も腫れてるし。
ということで、当時はまだ珍しかった甲状腺専門病院
神戸の隈病院で診察を受けたのが25年くらい前だった。
以来、生活習慣に気をつける
(昆布はなるべく食べない ストレスためない)で、
甲状腺ホルモン値は正常に保てていたけれど、
60代あたりから注意せよのドクターの言葉通り、
重度の高血圧と、夜中の動悸と胸痛がはじまったのが昨年のこと。
生まれてはじめて死ぬかと思った。
時を同じくして帯状疱疹にもなり、
これはまずいと、近隣の甲状腺専門医に診てもらうようになった。
「今すぐではないけど、ホルモン補充薬ははじめるからね」と言われて、
あー、いよいよだなぁと思う。
25年前の私よ、
今の私をたすけてくれてありがとう。

橋本病を治療中だったのか未治療だったのかは分からないけれど、
いしだあゆみさんが70代で亡くなったというのは私の中では納得感がある。
なんとなく自分は70代のラインだろうなって、
いままで生前整理と生活設計をしてきたところがある。
もしも間違ってすごい長生きしたらそれでいい。
一応、長生きタイムラインの生活設計もたててある。
どっちでもいいけど、
かっこいい70代になりたい。
(今年58)

去年の春のこと

去年の春は大変だった。
こうやって過去形で書けるということは、
今はもう大変ではないということ。
なので、安心して読んでほしいのだけど、
一年前の4月から5月は本当に大変だった。
母に腰椎の圧迫骨折が見つかり、
おまけに難聴の進行による認知の低下。
私のアイメイトに悪性の腫瘍の疑い(細胞診でほぼ確定)、
シビアな余命宣告(数か月)に呆然とし、
私は謎の重症の高血圧(200~230)で倒れる寸前。
これが全部いっぺんにやってきたのだ。

母を整形外科と耳鼻科と脳神経内科(すべて違う病院)に連れて行き、
母のオーダーメイド補聴器を作るために何度も補聴器屋を訪れ、
歩行器を介護保険でレンタルし、
可笑しいんだけど、盲人の私が母に使い方を教え歩行を訓練し、
そして、アイメイトの腫瘍の切除手術と詳しい検査、
合間を縫って自分の通院。
…思い出しただけでめまいがする 笑。

今はどうなったかと言うと、
骨粗鬆症の治療(半年に一度のプラリア注射と毎日のカルシウム薬)と、
週2日のデイケアのリハビリのおかげもあって、
母の歩行はシルバーカーがいらないまでに復活した。
補聴器装着で聴こえも良くなり、認知も上昇。
アイメイトの腫瘍は良性と判明し、
私の高血圧は降圧剤でコントロールできている。

人と犬のドクターのみなさん。
デイケアのリハビリスタッフのみなさん、
補聴器屋さん、ケアマネさんと介護用具屋さん、
みなさんのおかげです。
ほんとうにありがとう。

よかったよかった。
今年の春は何もなくてよかった。
…そうはいかないのが人生なんすよ。
(つづく)